技術・サポート情報

技術情報

熱対策

電子機器の小型化・薄型化及び電子部品の高集積化に伴い発熱密度が増加する傾向にあり、熱対策は非常に重要です。

熱設計とは

電子機器内で発生した熱を放熱材を用いて放熱したり、発熱部品の熱を筐体等の冷却面に伝導させることで部品温度をさげたりすることを言います。

熱設計の必要性

多くの電子機器のPCBに実装されている各種電子部品は通電によって発熱し、以下のような問題が発生します。
それらを解決する為に熱設計が必要となります。

  1. 機能的問題:電子部品が高温になると部品寿命が短くなる等
  2. 機械的問題:熱膨張・化学的変化による部品の破損等                 
  3. 対人的問題:高温部への接触による火傷等

伝熱の基礎

熱の流れには3形態があります。

  1. 熱伝導:個体内部での熱が移動する現象
    ex.スプーンの先を火であぶると手で持っている部分も熱くなる
  2. 対流熱伝達:物体と接触している流体に熱が伝わる現象
    ex.フライパンをガスコンロで温めるとフライパン上の空気が暖まる
  3. 熱放射:熱エネルギーが電磁波の形で空間を伝わる現象
    ex.太陽光。太陽の熱は空気を伝わっているわけではなく熱エネルギーが電磁波の形で空間を伝わってくる

上記の熱の流れを考慮し熱設計を行います。

熱伝導率と熱抵抗

フーリエの方程式:Q=λ×((ΔT・S)/d)
Q:熱量(W)、λ:熱伝導率(W/m・K)、ΔT:温度差、S:断面積、d:距離

  1. 熱伝導率とは
    << 材料そのものが持っている、熱の伝え易さ >>
      ・実機装着環境が変わっても、値は変わらない
       λ(熱伝導率)=(Q・d)/(ΔT・S)  ※d/ΔT=一定
  2. 熱抵抗とは
    << 実際の熱の伝わり難さ >>
    ・熱源との距離、密着度、面積により同じ熱伝導パットでも数値は変わる
    ・大面積、高熱伝導材料、距離(厚み)を短くすると小さくなる。
     R1(熱抵抗):℃/W=d/(λ・S)

熱伝導率および熱抵抗を考慮し熱設計を行います。

当社の熱特性評価方法

【熱伝導率】1.熱線法(JIS R 2616)

試料内に細い加熱線(熱線)を設置し、一定の電流を流すことで熱線を加熱します。
その際、熱線周囲の温度上昇が試料の熱伝導率に依存するため、時間軸を対数目盛にすると温度上昇は下図のように直線になります。
この直線の傾きは試料の熱伝導率と反比例の関係にあり、熱伝導率が低い試料の場合は大きく、試料の熱伝導率が高いと小さくなります。すなわち、試料の熱伝導率は時間軸を対数目盛にした昇温上昇の傾きから求めることができます。

熱線法

【熱伝導率】2.ホットディスク法(ISO22007-2)

ホットディスクセンサーに一定の電流を通電することによって発熱させ、その際のセンサーの電圧変化を測定します。
電流と電圧変化から、ホットディスクセンサーの電気抵抗、すなわち温度がどのように変化をしているかを求めることができます。

ホットディスク法

【熱抵抗】ASTMD5470準拠

一定の熱量を流し、試料の上(TA)・下(TB)の温度差を求めます。 
この温度差と熱流量から熱抵抗を算出します。 

熱抵抗=(TA-TB)/ Q
TA:上銅ブロックと試料の接面温度(上銅ブロック2箇所 T1、T2の温度と距離から計算)
TB:下銅ブロックと試料の接面温度(下銅ブロック2箇所 T3、T4の温度と距離から計算)

技術情報 熱抵抗3

熱伝導シート使用のメリット(グリスとの比較)

技術情報:熱対策3
  1. アセンブリ性の向上
    ・グリスを塗布する治具、塗布機が不要です
  2. メンテナンス(リワーク)性の向上
    ・メンテナンス時の洗浄/再塗布が不要です
  3. 作業の均一化(標準化)が可能
    ・シート状のため塗布量/面積のバラツキがありません
    ・在庫管理が簡単です
  4. 長期使用時の継続特性保持
    ・基油(ベースオイル)抜けによるクラックの心配がありません